シロアリ被害は、床下の木材だけでなく、畳や土壁など木質繊維を主な食源とし、稀に電気配線をかじることで停電を引き起こすこともあります。シロアリ被害が進行すると、柱や土台の交換、壁の解体などが必要となり、修復費用が高額になることがあります。

商業施設やマンションのような鉄筋コンクリート（RC造）建物でも、1mm以下の隙間を通り抜けるシロアリにとって、コンクリートのクラックなどにできた僅かな隙間からの侵入は容易です。一度侵入されてしまうと、床や壁などの内装材や造作材が食害されることになります。

シロアリ被害が進行すると、根太や大引きなどが食害され、床が崩れることもあります。さらに、シロアリによる住宅被害は、地震などの自然災害時に家屋倒壊の原因にもなります。学術機関が行った阪神淡路大震災の調査では、北淡町では「シロアリ被害・腐朽有り」の建物の76％が全壊（「なし」は38％）、東灘区では「シロアリ被害・腐朽有り」の建物が全壊93％、半壊6％という圧倒的な結果が出ています。（「なし」は全壊25％、半壊6％）
阪神淡路大震災では、（1）耐力壁の割合、（2）壁配置の偏り、（3）弱い接合部、（4）重さ、（5）老朽化や腐朽が複合し、弱い構造が倒壊被害の原因とされています。しかし、調査データからも、シロアリや腐朽被害による木材の劣化が自然災害時の家屋倒壊被害に大きな影響を与えていることが分かります。